ワンポイント教室


糖尿病一般のちょっとした知識、コツです。

糖尿病とは?


一言で言えば「インスリンの働きが不足して糖の利用が低下し、全身に様々な異常を起こす病気」です。インスリンというのは膵臓から分泌されるホルモンの一つで,糖分を利用するのに必要なホルモンです。糖尿病は全身の病気なのです。もうすこし絞って言うと,糖尿病は全身の血管の病気です。血管の合併症を防ぐことが糖尿病の治療の目的です。
「インスリンの働きが不足する」原因は(1)膵臓からのインスリン分泌が不足している場合と(2)インスリンの効きが悪くなっている場合の二つの原因が考えられます。中年になって食べ過ぎると,身体に入ってきた糖分を充分下げるだけもインスリンを余分に分泌できないのみならず,肥満によりインスリンの効きも悪くなっており、血糖値が下がりきらず糖尿病が発症するのです。この理屈がわかっていれば糖尿病を予防する方法がわかってきます。食べ過ぎないこと、肥満にならないことが非常に大切です。

糖尿病は文明病か?


確かに糖尿病は年々増えています。厚生省の全国調査でも40歳以上のだいたい10人に1人は糖尿病であることがわかっています。糖尿病の人の数は電化製品の普及率,自家用車の普及率に一致して増加しているといわれています。やはり、飽食,運動不足の時代が糖尿病発症に悪影響を及ぼしているようです。
人間の身体の中でインスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。その反対に血糖値を上げるホルモンはたくさんあります(例えばアドレナリン,副腎皮質ホルモン)。なぜでしょうか? もともと動物はほとんどいつも空腹で,獲物,エサをさがして動き回っていました。このようなとき,空腹で血糖値が下がりきってしまうと意識がなくなって死んでしまいます。このために血糖値を下がりすぎないようにするホルモンが分泌されるように「設計」されています。しかし逆に,「食べ過ぎ」に対してはあまり考えなくてよかったために血糖を下げるホルモンはインスリンしか用意されていなかったのかもしれません。現代のような飽食,運動不足の状態はいままでの「動物」の歴史の中で神様が予想していなかった状況かもしれませんね。

食事療法について


食事療法が必要なことはよくご存じでしょうが、いざ実行しようとなると「むずかしい」「わからない」「食べることくらい楽しみがないと。。」というのが大部分の人の意見でしょう。正しくは一日の必要カロリーから「食品交換表」を基にして献立を考えることでしょうが(「あなたの必要カロリーは?」参照)、たしかに難しい面もあります。
「もっと簡単に」ということなら次のことを実行してください。
(1)食事は「主食」,「主菜」,「副菜」をまんべんに
主菜のみならず,野菜などの副菜を充分とってください。満腹感もえられます。また逆に、ごはんなどの主食も身体にとって必要なものです。脳のエネルギー源はブドウ糖です。タンパク質中心の主菜ばかり食べても頭は回転しません。要は主食,主菜,副菜をまんべんなく。
(2)ジュース,間食,夜食を止めること,夕食もひかえめに
ジュースは基本的に禁止。間食もごくわずかに。夜食ももちろんいけません。どうしても三食のうちで夕食が一番豪華になりますが,本来はこれから動く「朝食」はしっかりと,これから眠る「夕食」は控えめに食べるようにしてください。

運動療法について


運動療法は食事療法と同じように大事です。でも、なにもスポーツジムに通う必要はありません。散歩で充分です。早足で朝夕それぞれ30分歩くことを心がけてください。万歩計では一日1万歩!
歩くとエネルギーが消費されますが、30分あるいても消費されるエネルギーはたかだかごはん半膳程度です。でも散歩を続けることによってインスリンの効きが良くなり、糖尿病も良くなってきます。「継続は力」です。

合併症について


糖尿病は全身の血管の病気です。大きな血管がやられれば動脈硬化となり,心筋梗塞,脳卒中などを起こす原因になります。細かい血管がやられれば目(網膜症),腎臓,神経などの病気が起こってきます。糖尿病の治療の目的はこれら合併症をすすまさないことです。やっかいなことに,これらの病気は気づいたときにはすでにかなりすすんでいます。自覚症状がないうちから定期的に検査をしてください。
糖尿病を放っておくと知らぬ間に合併症がすすみ、失明や腎透析,足の切断を余儀なくされる場合もあります。でも定期的に診察をうけてうまく糖尿病をコントロールしていれば何も恐れることはありません。「一病息災」で充分人生を楽しんでください。

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