ある体験談


このホームページを見て早速投稿していただきました。
仮にTさんと呼ばせていただきます。Tさんは現在30歳。若くして糖尿病になり,失明も経験し、現在週3回人工透析を行っているそうです。「皆が私のようにならなくてすむようにご尽力ください。よろしくお願いいたします。」というメッセージとともに体験談を送っていただきました。Tさんの体験談を読むと,糖尿病を正しく理解することがいかに大切であるかということを痛感します。Tさんに深謝いたします。[平山純二]


発症について


 私は子供の頃肥満児で72kgあった体重が一ヶ月で20kgも落ちました。母を病気で亡くして半年のことです。母のいないストレスからか、食生活の乱れからか ひどくノドが渇いたのを覚えています。指をしゃぶっても濡れないくらい口の中がカサカサになるんです。ものすごく水を飲むんですが、それが恥ずかしくて人を避けるようになったり、イイワケが多くなったりして自分をとりつくろうんです。私の周りには正しい知識を持った大人はいませんでした。親も学校の教師も「糖尿病は病気じゃない」とか「子供がなるはずないじゃないか 仮病だろう」と言われ通院が困難になったいきさつがありました。それがいけなかったんですね もう取り返しはつかないけど父はそれを悔いて全力で面倒をみてくれています。感謝しています。

 最近、子供の糖尿病が増えているようです。
お子さんの行動をよくみてあげてください ジュースをガブ飲みするようになったとか、、、ゴロゴロしているとか 一見だらしないようにみえても、それが疲労の症状だったりしますから・・・ 既に病気と闘っている方・・・知識のない無責任なことをいう人が多いですから負けないくらいの知識を持ちましょう。判断がつかないときはドクターだけが頼りです。一生の付き合いになる病気です根気よくがんばりましょう。

合併症について


 20歳の頃から異常が現れはじめました。 腹痛はないのですが、下痢が続くようになったんです。 特に、夜に起こりますので寝不足がツラかった。このころは通院を中断していた頃で,市販の薬をよく飲みましたが効くわけがありません。後に自律神経の障害によるものだと知りました。 根本的に治す治療がないのでいまでも悩まされています。

 25歳で本格的に治療に専念しました。 眼科の初診で「かなり重症だ」と言われましたが 車で通院してたくらいです。 他人のことみたいな気分でした。「白内障」と「網膜症」の症状が現れたのは間もなくです。 目の前が白っぽく見え、ひなたはまぶしくて歩けません。 目の中に黒い点が見えるようになり、はじめのうちは ひどくジャマです。次第に焦点が合わなくなり,光しかわからなくなります。2、3ヶ月の間の出来事です。 毎朝 天井の電灯をみるたび「昨日より見えなくなったなあ」と判ります。 生きた心地がしなかった。 手術を受けて右目にシリコンオイルを入れて網膜を固定している状態です。 今の視力は0.1程度。視野も狭く、動くたびにオイルがユラユラゆれます。この視力もいつまでもつかわからないけど大事にかばっていきたいと思ってます。

 目の手術の全身麻酔で腎機能が一気に悪くなりました。ムクミがひどくオシッコもでにくくなる尿毒症を起こすようになり、毎日吐き気と闘っていました。 人工透析を宣告され準備が始まります。腕の動脈と静脈をつないで太くして,透析用の血管をつくります。 シャントといいます。 透析はシャントにツマヨウジより太い針を二本さしますが とても痛いです。 一回の透析が4時間,体中の血液をろ過して水分を取り除いて体にもどします。 3、4kg体重が減りますので血圧が低下したり、筋肉がツったりしてツライです。どんな悪天候でも、骨折していても欠かすことはできません。死ぬまで・・・

 前述の神経障害でもうひとつ深刻なのが「起立性低血圧」です。 座位で150くらいある最高血圧が立ったとたんに100以下に下がります 透析のあとは60まで下がるので気を失うほどの状態です。これも薬も治療法もないそうで 車イスを用意するなど工夫してます。

 治療を始めて5年 ずっとデータは良いのに合併症はひとり歩きしています 誰にも止められないとわかったとき 恐ろしくなりましたが残された機能を活用して前向きに生きていこうと考えてます。

 糖尿病のみなさん 私のようにならないでください。 自己のこころがけで防げるんです。何でもドクターに相談しましょう 必ず力になってくれます。民間療法にはしることは危険です 絶対やめてください。

食事療法のコツ?について


 糖尿病の患者さんが最初に経験する試練は「カロリー制限」でしょう。 それまでの食事の半分以下、時間を守り、抜いたりしない。間食、夜食もダメ。 口で言うと簡単なようですが、これが結構守れないものです。 それだけ普段の食習慣がイイカゲンだったことに気がつきます。夜、腹がすいて眠れない イライラする これらは我慢するしかないでしょう。徹底すれば2、3週間で体が(胃が)慣れてきてツラくなくなります。自分の根性だめしだと思ってガンバリましょう。

 退院してからは「コンビニ・ダイエット」が良いと思います。 コンビニの商品は食べきりサイズで何品か組み合わせを考えることができますよ。カロリー表示がしてあるので参考にしてください 良心的なレストランでも表示がしてあります 最近は女性の「ダイエットブーム」のおかげで低カロリー商品がいっぱい出回っていますので助かりますね。

 この食品が糖尿病に良い、というのはありません。 食事療法というのは食習慣を正常に戻すことです。食べることは娯楽ではありません 必要な栄養を摂取する手段なのです 体に負担をかけないようにしましょう。「まずくてもカロリー」・・・残したらもったいない と思って全部食べることはありません。おいしいところだけ食べて いかに、残すかというのも体にとって良いことです (おいしいところはカロリーが高いところが多いですが、、)
 「低血糖には砂糖で」 ・・・スティックシュガーが持ち歩きに便利です。血糖測定器も忘れずに携帯しましょう。
 合併症を起こすとカロリー制限だけではすまなくなります。 塩分、カリウム、リン、水分まで気を使わなくてはならなくなります。ちょっとした油断が体に影響を与えてツライ思いをします 私たちは血糖値をコントロールできない病気なのですから口から入れるものによって加減するしかないのです 慣れが大切です ガンバリましょう。


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