よくある疑問,質問


よく聞かれる疑問,質問に答えてみました。ほかにも質問があればメールしてください。
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【Q】散歩は、どの時間帯にするのがいいのですか?

【A】基本的には食後1時間がよいと思います。食後直後は消化器に充分の血液を回すためにも運動しないほうがよいです(肝炎の方も、食後1時間の安静が治療の原則です)。事情で食前しか歩けない場合は食前でもいいですが、やはり先にエネルギーを補給してから運動するのが適当です。特に薬物治療をしている人は低血糖の可能性もありますし、、、また、完全に血糖が上昇してしまう前に歩き始める方が血糖値の変動幅も少なくてよいですね。
 

【Q】寝る前よりも翌朝空腹時の方が血糖値が高いことがよくありますが、夕食の料理によって違いがあるのでしょうか(カロリーはいつも一定です)?

【A】確かに前の日の夕食による差はありますね。同じカロリーでも吸収される速度は違いますからね。脂肪が多いとやはり「腹持ち」もいいですね。調味料自体はあまり関係ないと思いますが、刺激のある調味料なら胃腸の運動が活発になり消化がはやまるかも、、
でも、朝の方が血糖値が高いのには別の理由もあります。人間のホルモンの日内変動として、早朝に成長ホルモンやアドレナリンなどが多く分泌されます。これらは血糖値をあげる方向にはたらきます。その結果、肝臓などから貯蔵されていたブドウ糖が出てきて血糖値が高くなるのです。
 

【Q】野菜はノンカロリーで、いくら食べても血糖値に影響がないと言われるが、本当ですか

【A】野菜は、300gで1単位です。でも実際は多くとりすぎてもあまり気にしなくてよいです。特に、海草、きのこ、こんにゃくはカロリーがありませんから、量は気にしなくていいです。これらを使えばおかずが1品余計にたべられそうですね。ただし、かぼちゃ、れんこん、いも、くりなどは表1の食べ物でカロリーがかなりありますから気をつけてください。もちろん、ドレッシング、砂糖などの味付けにはカロリーがありますから気をつけてください。
 

【Q】夏の血糖値は80-110mg/dl、冬は120-140mg/dlですが、夏と冬で値が異なるのはなぜか。

【A】一般的にこのような傾向があります。一般的には秋にいろいろ果物も出まわるし、正月もあるし、食べる量も増えます。たとえ食事量が同じでも運動量に差があると思います。また、発汗量も少ないくなるし、代謝量が少なくなるため、消費が少なくなることも理由の一つだと思います。運動量と食事量は「交換」できませんが、やはり冬は食べる量をすこし控えたほうがよいかもしれません。また、家の中にいる時間が増えますから、つい間食を食べがちですから注意してくださいね。
 

【Q】インスリン注射をすると一生射ち続けなければならない?

【A】そんなことはありません(キッパリ)。血糖値が非常に高くなると自分が出すインスリンだけではどうしても血糖値を下げられないことがよくあります。このような時に外から注射でインスリンを追加してあげると血糖値が下がります。血糖値がある程度正常に近づいてくるとインスリン注射をやめてもうまく血糖コントロールができるようになることもよく経験します。まして今はヒト型インスリンですから,効きすぎた場合の低血糖症状以外,ほとんど副作用もありません。

【Q】毎日の注射はいや! 内服のインスリンってないの?

【A】残念ながらインスリンは注射でしか投与できません。座薬なども考えられていますが,まだまだ研究段階です。注射も針が細くなり,ペン型注射器などで以前に比べてかなり楽になってきています。勘違いしてはいけないことは、現在使われている経口血糖降下剤はインスリンではないということです。経口血糖降下剤は体に入って、自分の膵臓から自分のインスリンを出すように刺激する薬です。だから,もともと膵臓が弱ってインスリンが出にくくなっている人は,いくら経口血糖降下剤を飲んでも血糖値が下がらないこともあります。経口血糖降下剤とインスリンは全くその働きが違うのです。

【Q】今年の検診では尿糖がマイナスになったので糖尿病も治った?

【A】いいえ。尿糖は一般に血糖値が180mg/dl以上位にならないと出てきません。普通検診は空腹時で行いますから血糖値が少し高くても尿糖マイナスになります。空腹時血糖値が140mg/dl以上なら明らかに糖尿病なのですが、たとえ空腹時血糖値が150mg/dlでも一般的には尿に糖は出てきません。つまり尿糖マイナスだといって「糖尿病でない」とは言えないのです。

【Q】糖尿病といわれたが何の症状もなく、このまま放っておいても良い?

【A】いいえ。糖尿病で本当に怖いことは,血糖値が高いことではなく、その結果「合併症」としていろいろな病気がおこってくることです。さらに、この「合併症」には失明や腎不全,心筋梗塞など、日常生活に大変な支障を来す病気、命にかかわる病気がたくさんあります。ここで大事なのは,自分で何らかの異常に気づいたときは,すでに合併症がかなりすすんでいるということです。糖尿病の治療の目的は「合併症の予防」です。薬を使っていない人でも定期的に診察をうけてください。

【Q】糖尿病になると目が見えなくなるって本当?

【A】糖尿病の「細血管合併症」でも目の病気(「網膜症」)はよくみられます。放置していると眼底出血を起こして失明する危険性があるのも事実です。しかし皆が失明するわけではありません。定期的に眼科を受診していればそれほど怖くありません。最近の研究でも,血糖値を厳密にコントロールすれば網膜症の進展も抑えられることが証明されています。ちなみに,糖尿病では「白内障」も進みやすいですが、これは手術をすれば良く見えるようになりますから、さほど心配はいりません。

【Q】糖尿病は薬を飲めば治る?

【A】殆どの場合「いいえ」です。薬(経口血糖降下剤など)を飲めば血糖値が正常に下がることはあっても,糖尿病の体質は治りません。それよりも怖いのは食事療法や運動療法(散歩療法)をせずに薬だけにたよることです。暴飲暴食し、運動不足のままで血糖降下剤やインスリン注射だけしていると、血糖値は下がっても合併症が進んでしまい大変なことになってしまいます。薬はあくまで食事療法,運動療法の補助的治療手段と考えてください。

【Q】糖尿病は遺伝するの?

【A】いいえ、遺伝病ではありません。でも「糖尿病になりやすい体質」は確かに親から引き継がれます。私たちの調査でも,片親に糖尿病がある人は,ない人の2倍近く糖尿病にかかっていることがわかりました。しかし,殆どの場合は「糖尿病になりやすい体質」に「そのほかの原因」が重なってはじめて糖尿病が発症します。「そのほかの原因」とは肥満や運動不足,ストレス,感染症などです。ということは,糖尿病の人は自分の子供さんにも正しい食事、運動などを「指導」すれば将来その子供さんが糖尿病になるのを防いであげられるということです。

【Q】病院でヘモグロビンなんとかがどうのこうのと言われたけど、何のこと?

【A】これはヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)といって,過去1ヶ月間くらいの血糖コントロールの善し悪しをみる指標です。グリコヘモグロビン,糖化ヘモグロビンとも言います。もっと簡単な呼び名があったらよいですね(エーワンシーと略すこともあります)。これはむしろ血糖値よりも重要であり、普通1ヶ月に一度少量採血して測定します(平山内科では約5分間で結果が出ます)。
正常値は5.4%以下、糖尿病の人の目標は6%台です。7%台では少し悪く,8%以上ならかなり悪いコントロールです。ただし、貧血などがあると値が低くでるため、注意が必要です。

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